マンガはユニバーサルデザイン


 

ユニバーサルデザインとは、老若男女をとわず誰にとってもわかりやすく、魅力的で使い勝手のよい製品、環境、情報づくりをめざす考え方です。日本の娯楽文化として成長を続けるマンガは、情報のユニバーサルデザインを担うメディアです。

■マンガの本質

まず、アイデアはマンガの基本です。なにをマンガで伝えたいのか、どのようにすれば面白くわかりやすくなるのか、といった構想をしっかりと立てることがなによりも重要です。

絵は人物や情景を表現するのはもちろんのこと、作品の味わいやテンポを演出します。テーマによって、重厚な絵柄や軽い絵柄を使い分けることが大切です。読者の嗜好を左右するため、絵はアイデアに次いで大切なファクターです。
言葉は簡潔で生き生きとしていなければなりません。通常、絵が状況説明や心理描写の一翼を担うので長い表現は必要ありません。一方、ハウツーものや広報ツール等の情報マンガでは、言葉は重要な役割を果たします。いずれにせよ、マンガの独自性は絵と言葉がもたらす相乗効果にあるといってよいでしょう。
マンガには記号化された表現が多用されます。記号は、共通表現として多くの人々の理解を助けます。代表的なのが、生理現象としての汗です。熱いとき以外でも、マンガでは驚きや不安、緊張といった心理描写に汗を用います。恋愛感情を表すハートや怒りを表す青筋など、マンガの記号は枚挙にいとまがありません。マンガがユニバーサルなのは、記号の力によるところが大きいことがわかります。

 

さて、マンガの魅力はおもしろさに尽きると言っても過言ではありません。どうすれば多くの読者にとっておもしろくなるのか、これは理屈では捉えきれません。4つの構成要素のもと、作者は独自のブラックボックスともいうべき表現プロセスを経て、作品をビジュアル化します。

マンガは連続する絵として定義できますが、その連続性を表現するのがコマです。マンガが他のメディアと比べユニークなのは、コマが空間、動き、音、時間といった映像的な表現手法をもつことです。

   

マンガは空間を自由に操作します。奥行きをもつ空間から平面的な表現、遠近感を誇張した手法など、読者を引き込むさまざまな工夫が存在します。

動きは作品に躍動感を与えます。ギャグのコミカルな表現から劇画の映像的な動きまで、マンガは内容に合わせ、多彩な動きを駆使します。

音は効果音として文字表現されたり、絵画的に処理されたりします。いわゆる音ではありませんが、静けさや心理描写、特殊なインパクトが音として表現されることもマンガの特徴です。

マンガでは、連続したコマ間ではもちろんのこと、一つのコマ内でも時間の経過を表現することが可能です。時間を操作することで、コマ数を増やしたり短縮することが自由にできます。

そして、マンガがおもしろくなるための決定的な要素がストーリーとキャラクターです。これらが魅力的で創造力をかきたてることが読者の共感を呼ぶ最大のポイントです。スーパーヒーローや悪役、偉人、どこにでもいそうな人、動植物、宇宙人、モノなど、森羅万象をキャラクター化することが可能です。

 


 

以上を図式化したのが次のマンガの世界図です。宇宙の無から有を生み出すブラックホールをイメージしたものです。 あるアイデアのもと、作品は絵と言葉と記号を組み合わて構想されます。図では、絵と言葉が左右に、記号がそれらの中間に位置づけられています。リアリティを追求すると、作品は絵に近づき、抽象を追求すると言葉に近づきます。マンガの表現手法は実に多様で、写実的な絵を用いて言葉を極力排したものから、逆に言葉を多様する小説に近いものまでさまざまです。 構想はブラックボックスを経てビジュアル化されます。

作品では、キャラクターが空間、動き、音、時間といった環境のもと、縦横無尽なストーリーを展開します。 作品では、キャラクターが空間、動き、音、時間といった環境のもと、縦横無尽なストーリーを展開します。

マンガは老若男女を問わず・ ・・

誰からも親しまれるユニバーサルメディア