21世紀の社会システムをデザインする「ユニバーサルデザイン・コンソーシウム」  
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ユニバーサルデザインとは?
 
2.ユニバーサルデザインの事例と動向
 
#54 UDプロダクトと流通 
 
 作り手とユーザーをつなぐコミュニケーション―
 
#54  UDプロダクトと流通
#54 1 江戸木箸 ―大黒屋―
#54 2 ひのきのはきもの ―ひびのこづえ×和工房みずとり―
#54 3 Kontex ―近藤繊維工業―
#54 4 フレンズ・フォーエバー
#54 5 TO:CA ―I.D.E.A International―
#54 6 三川内焼き ―平戸洸祥団右ェ門窯―
#54 7 帆布バッグ ―シライデザイン―
#54 8 「地方の力と使い手を結ぶユニバーサルな流通の仕組みが必要」  
                                 ―益田文和氏―
ひのきのはきもの  ―ひびのこづえ×和工房みずとり― 
 
 
足に馴染むフィット感とポップな遊び心
スリッパでもサンダルでもない「はきもの」
 

 自分好みのスリッパを見つけるのはむずかしい。ダイエットスリッパなどのアイデア商品もあるが、どうもなじめない。靴を脱いで自宅で寛ぐ時にぴったり の室内履きを見つけた。近所にちょっと買い物に出るときにも便利なので、色違いで2足購入した。

 シンプルなスクエアトゥに白木の素材感。パンチングによるポップな柄には遊び心 がいっぱい。コスチュームデザイナーとして活躍するひびのこづえさんと静岡の老舗の下駄屋さんとのコラボレーションで誕生した「ひのきのはきもの」だ。

 
写真:ひのきのはきもの
 
【写真:ひのきのはきもの 人工皮革を丸くパンチングした生地は遊び心がいっぱい。国産ひのきを薄くスライスし、足の形状に合わせて曲げている。足にしっくり馴染むひの きの感触が心地よい 素材/台:国産ひのき、アッパー:クイーンセルバ(合革)】
 
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体にやさしいはきものをつくる
 
写真:ランデヴープロジェクトのコラボレーション

 静岡県は昔から下駄や履物づくりが盛んで、明治時代には全国一の生産量を誇るほどだった。しかし、服装やライフスタイルの変化で下駄の需要が激減。メーカーの多くがサンダルづくりへとシフトしていく。 ひびのさんと 「ひのきのはきもの」を手掛けた水鳥工業も同様だった。昭和60年代からはサンダルの素材をつくるようになっていた。

 しかし、3代目社長の水鳥正志さんは、海外に在住する妹さんたちの 暮らしぶりを見たり、ビルケンシュトックのような健康を考えたサンダルと出会い、体にやさしく、今の暮らしに合う履物をつくりたいと考えた。6年前からはオリジナル商品をギフトショーなどに展示し、順調に売り上げを 伸ばしている。

 ひびのさんとの出会いはランデヴープロジェクト。アーティストと静岡市内のメーカーがコラボレートして新しい視点で製品を開発するプロジェクトだ。3年前に静岡市が立ち上げ、現在は静 岡市産学交流センターが主催。「履物も洋服も体に直接身に付けるもの。だからコスチュームデザインをされているひびのさんにお願いしました」と常務の水鳥秀代さん。


【写真:ランデヴープロジェクトのコラボレーション】

 
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国産ひのきに対するこだわり
 

 愛・地球博では子どもの衣装をデザインするなど環境問題に関心を寄せているひびのさん。これまでの技術を生かし、履き心地を追求する水鳥工業。ひびのさんのスケッチを元に、デザイン性、履きやすさ、強度などの条件を満たすため、試行錯誤しながら完成させた。

 静岡県はひのきの産地でもある。「計画的な伐採と植林は、山の生態を守り活性化にもつながります。 環境に配慮しながら、日本の素材や技術を活かしていきたい」と秀代さん。ひのきは国産材を使用。

 足のアーチに沿ってゆるやかにカーブしているひのきの台。履いてみると足を包み込むようなフィット感が心地 よい。歩行音を軽減するため、裏にはゴムが付いているのでマンションなどでも安心だ。ひのきは肌触りのよさから浴槽にも使用されてきた。最近では香り成分、フィトンチッドのアロマ効果や消臭・抗菌性も注目されている。

 無垢のひのきに合わせて、生地は人工皮革を切りっぱなし・パンチング仕様に。外で履きたいという要望に応えるため、強度や耐久性を高めたり、素材のバリエーションも増やしている。

 「お風呂あ がりに履くと気持ちよさそうですね」と尋ねると、「水には弱いので、濡れた足で履いたり、水辺ではおすすめできませんよ」という秀代さんも、実はお風呂あがりに愛用している。

 歌舞伎の衣装も手掛けているひび のさん。パリで行われた展示会で「ひのきのはきもの」を隈取りのイメージと評した人がいるそうだ。ひびのさんは特に歌舞伎を意識したわけではないというが、「今までは、あまり日本の伝統と接点のないところで仕事を していましたが、最近は狂言など、さまざまな所で仕事をさせていただき、自分が日本人だったことを感じ、大切に思っています」。

 斬新なデザインでありながら、どこか下駄や草履のイメージと重なる。ひのきの質感やシンプルなデザインは、日本人が持つ独自の素材や触感に対する感覚を満足させ、性別や年齢を問わず、さまざまな暮らしのシーンに馴染む。

 
写真:ひびのこづえさんのスケッチ
 
【写真:ひびのこづえさんのスケッチ】
 
写真:リマ クロス ブルー   写真:パンチング〔角〕 白
 
【写真左: リマ クロス ブルー 写真右:パンチング〔角〕 白 ヌバック調のものなど豊富なバリエーションが揃う】
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